当ブログの管理人『読み歩く人』が、今まで読んで面白かった小説の中でも特に【主人公が渋い・格好良い】と思った作品をいくつか紹介。
※ 完結済みの長編作品にはタイトルの右側に【完結済み】と書いてあります。連載中の場合は何もなし。
本作の作者は複数の書籍化作を持つ大人気作家なので、クオリティは折り紙付き!
派手な特殊能力などは無い代わりに、圧倒的な身体能力と戦闘技術を持って繰り交わされる質実剛健な戦闘描写は見事の一言。
誠実さや親切心を忘れないながらも、時に必要であれば清濁併せ呑む判断をも厭わず、信念を貫く主人公の姿は、男ならば必ず憧れを抱く姿がここにあります。
あらすじ
オークの戦士バッシュは英雄である。
戦争でありとあらゆる敵を打ち砕き、オークの中のオークとして、全てのオークに尊敬されている。
だが、そんな彼には隠し事があった。
それは女性経験が皆無であること……すなわち童貞ということである。
戦闘と性交の回数を重んじるオークにとって、童貞はとてつもない恥である。
オークの英雄として崇められる自分が童貞であるということは、すなわちオーク全体の恥である。ていうか自分も嫁が欲しい。
そう考えた彼は、旅に出ることを決意する。
種族の誇りと名誉を守るため、そして童貞を捨てるために……。
現在書籍版が22巻まで刊行されている大人気作品『無職転生』の作者”理不尽な孫の手”さんが贈る新作小説。
あらすじの通り、オーク族最強の戦士であり英雄であるバッシュが嫁探しの旅に出るお話しなのですが、バッシュはその事を隠しているので、周りからはオークの王から何か重要な密命を受けて旅をしているのだと勘違いされてしまいます。
『百戦錬磨のオーク英雄』としての格好良いバッシュと、『恋愛の「れ」の字も知らない童貞オーク』としてのダサ可愛いバッシュ。この二つの要素が織り成す本格派勘違いファンタジー。
あらすじ
灰色の勇者として異世界に勇者召喚された日本人、灰羽秋。彼は召喚される前のスキル取得の場にて、時間を掛け、思考を巡らせ、最後には自称仲介者を欺いて他の勇者よりも沢山のスキルを勝ち取った。だがしかし、時間を掛け過ぎた事があだとなり、召喚の座標がズレて他の勇者たちとは違う場所に飛ばされてしまう。
全く雑魚とは思えない屈強なゴブリンの集団。
森林が次の日には雪原に変わり、また直ぐに砂漠に変わるという過酷な環境。
周りを取り巻く異常に高LVな魔物達。そしてその魔物ですらも塵芥の如く死んでいく様な異常な生態系。
その名も【終焉の大陸】
今まで争いのない日本で住んでいた秋には厳しすぎるその大陸で、秋はスキルや能力を頼りに何とか生き残っていくなか、ゆっくりと、しかし確実に【終焉の大陸】に染まっていくかの様に、人外への道を歩みだす。
この作品に関してはごめんなさい。渋いのは主人公ではなく、世界観、しいては作品全体が渋い作品です。
初っ端からいわゆる転生部屋で繰り広げられる、神と主人公との心理戦。
神を出し抜いてチートを得たと思えば、そんなチートが子供用の玩具に思えるほどの絶望の大地『終焉の大陸』に飛ばされてしまう主人公。
それでもなんとか自分の持つチートを使って、環境に適応しようと足掻く姿を描いた、長いプロローグが終わり、ようやく第一章に入ったかと思うと一気に時間が飛ぶので、初めは面食らってしまうかもしれません。
が、そこまで読んだなら、もうページを捲る手を止める事は出来ないでしょう。
そこに至るまでに主人公は何を選択し、何を捨ててきたのか。増えた仲間のひとりひとりに存在するであろうドラマ。それらがまるで、伏せられた幾つものカードが一枚ずつ、ゆっっっくりと捲られていくように明らかになっていきます。
このじれったい、身を焦がされる様な世界観を、あなたも是非味わいに行きましょう。
あらすじ
『ライブダンジョン』という名の今となっては古い形式のMMORPG。
そのサービスが終了する前、五台のノートPCを駆使しての五キャラ同時操作という廃人もびっくりな方法でゲームをクリアした京谷努は異世界へ誘われる
そして異世界でのダンジョン攻略をライブ中継で見た努は絶句した。戦略のせの字も無いゴリ押し。不遇のヒーラー職。ゲームでは白魔道士を愛用していた努は白魔道士の復権と、異世界脱出の鍵を求め、ダンジョン制覇を目指す。
この作品の魅力は何といっても描写の巧みさ。
キャラクターの全てが現実に存在しても可笑しくないほど、個性豊か、かつ活き活きと描かれており、強大なダンジョンボスとの戦闘描写に至っては、まさにキャラの一挙手一投足に目が離せません。
また、不遇職である「ヒーラー」として『ライブダンジョン!』の世界に降り立った主人公が、役割分担による効率的なダンジョン攻略法を、世界に浸透させていくまでの、苦難の道のりを通して描かれる人間ドラマも必見。
あらすじ
本作の主人公『レント』。彼は辺境で長年冒険者として活動しながらも、その冒険者ランクは『銅級』と中途半端なランクでくすぶり続けていた。
そんな彼は運悪くも迷宮の奥で、本当ならば居る筈のない強大な魔物に出会い、敗北。そして気づくと骨人《スケルトン》になっていた。
このままで街にすら入れないと苦悩した結果、ふと魔物の存在進化の事を思い出し、とりあえず肉のある体を手に入れることを目指して迷宮で魔物を倒していく。
そうして、無事、隠せば人間に見えなくもない体を手に入れた彼は。運良く協力者を得られた事もあって、街へと帰って来る事が出来たのだが……
かつて、これほどまでに主人公が強くなるのが遅い小説があったでしょうか(誉め言葉)。
この作品は、なろう系作品お馴染みの爽快感や疾走感溢れるお手軽なファンタジーではなく、魔物の身となっても夢を諦めずに努力を続ける事を決めた一人の男の姿を描いた本格ファンタジーです。
ストーリー上で推移していく状況ひとつひとつに、差し挟まれる深い考察(主に主人公の視点から)は作品に確かな立体感をもたらしており、主人公が歩む軌跡をじっくり楽しむことが出来る作品になっています。
あらすじ
青年が召喚された異世界は乱世だった。
絶対王政の世界。
選民意識に凝り固まった特権階級と世俗にまみれた宗教。
青年は自分の正義を胸に行動を起こす。
戦奴隷として異世界に召喚された男子高校生(武術経験有)が、奴隷にされる前に召喚者と護衛を皆殺しにして逃亡する所から始まるダークファンタジー。
シリアスでダークな本格戦記をご所望の方々に是非ともおすすめしたい一作です。
序盤は召喚国の追ってから逃亡する主人公が、異世界を旅する中で、彼に魅了された仲間(配下)が徐々に彼の元へと集まっていく過程が描かれており、中盤以降は、内戦が勃発する他国へと潜り込んだ主人公が支配階級に成り上がり、戦いのスケールが個人間から国家間へと拡大していきます。
あらすじ
自ら望んで異世界に落ちた腕利き冒険者〈片目狼〉レカンは、今以上の強さを目指して迷宮に潜り、調薬の業を学び、新たな魔法を習得し、揺ぎ無きおのれを築き上げてゆく。
これは、そんなレカンのさらなる冒険の物語である。
個人的ナンバーワン主人公が渋い作品。
元の世界で培った高い戦闘技術。
それに胡坐をかかず、修練を続ける強い向上心。
権力に屈さず、理不尽には確かな論述と武力を以って立ち向かう主人公の姿は正に全男子の憧れと言えるでしょう。
本作の心理、情景等諸々の描写を一言で表すなら『質実剛健』。
無駄な装飾などなく、しかし決して簡素な訳でもない文章で綴られた物語は、読み手に確かな満足感を与えてくれます。
あらすじ
幼少の頃から様々な武道を修練してきた一人の青年『遠野一二三』
彼は人を殺したいという欲求を持っていた。しかしながら現代日本ではその欲求を発散する事は出来ず、溜め込んでいく一方だった。
そんな折、彼はある朝の稽古中、異世界へと強制的に旅立つことになる。
聞けば魔物が跋扈し、人間同士の争いもある世界との事、彼は歓喜し、異世界で生きていく事を決めた。
かくして、人間の限界まで鍛えた武技と、苦もなく人を殺せる歪んだ倫理観を持った、恐ろしい男が異世界へと呼び出された……。
『唯我独尊』とは正にこの主人公の為にあるような言葉といえるでしょう。
生粋のバトルジャンキーであり、異世界の地で数多の屍の山を築いていく。正しい意味で狂っているといえる主人公ですが、作品を読み込んでいけば彼が一本芯の通った男である事が分かります。
戦闘はその殆どが対人戦であり、魔法も存在する中、ほぼ白兵戦で多数の敵兵をなぎ倒していく主人公の姿には興奮すること間違いなし。
あらすじ
醜悪なる姿はゴブリンと呼ばれ、人に狩られるだけの存在だった種族がいた。しかし、ただ一人の王の存在によって彼らは生まれ変わる。
これは魔物を率いて神々への反旗を翻した王の物語。そして彼を支えた魔物と人間達の物語。
『ダークファンタジー』『人外主人公』『戦記』系作品の金字塔。
本作に関しては宣伝は不要でしょう。↑のキーワードでビビっと来た方は迷わず読むべき名作です。
ただ一つだけ難点を挙げるとするなら、あまりにも『重厚』過ぎて読むのに時間が掛かってしまうことぐらいでしょう。
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